人間嫌い

あたしは凄く人間が好きです。

醜くも有り、ひどくも有り、支配力、独占欲、虚栄心、
その無知さ、無関心さ、惨めなほどの生命力。
向上心というのは 裏を返せば現状に満足できない
欲張りさという表現にもつながる。

けれどそれらすべては 人間を愛おしくさせる要因でもある。
決して満足できない、足りない精神力や弱さ、絶対完璧にならないもの。
それは人間という生き物。

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ブリューゲル「人間嫌い」。

世の中に絶望した年を取った男が、
人間を避けるようにして存在している。
修道院にいるひとみたいなマントを着込んでいるけれど、
聖職者のような高い志があるわけではない。

後ろにかがんでいるのは、地球儀のような 枠縁に入った男。
「世の中を生き抜くためには、頭をさげなければならない」という
古い欧州の諺を あらわす。

そして、その男は 赤い心臓のかたちをしたものを盗んでいる。
それは、世捨て人の財布だ。
世の中を捨てた、というその老人だが、それでも自分の財産である
財布に紐をつけて身に持っている。

あなたは、この2人のどちらに強く愛情を持つかしら。

あたしはひざまづきながら財布を嬉しそうに抜く、
後ろの男のほうが人間らしいと思う。

その財布に入った 少しばかりのお金で、
家族にパンが、ミルクが買えるのかもしれない。

世の中を捨てて生きるならば、
持っているものすべてを欲しいひとに あげるべきだと思う。
生きていることを あきらめることが一番いけないことだ。
あきらめるのならば、そのあきらめることのできた自身の幸せを
恩恵を他人に与えなければならないと あたしは思う。

あたしが歳をとって、この世界から
違う世界に行くときに まだこの身体のどこかが使えるのならば
どうぞ もっていって、生きたい人に使って欲しいと思う。

ブリューゲルの絵を見つめていると、
辛辣な描写の中に、彼の人間への愛情が見える。
欠けていて、足りなくて、至らないものが人間なんだって言ってる。
それが 愛らしく、それを大切にしなければいけないんだって言ってる。

すると なんか こんなあたしでも
うっしゃ、頑張るか、と 思ったりする。
だって 人間って いとおしいもん。

ねー、だ。 ;-p
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by sachio_tukiyo | 2005-12-16 12:26 | arts-kunst  

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